スキルス胃がんだったとは!

夫がスキルス胃がんステージ4の告知を受けてからのこと

外科医の見解

内科のR医師の診察の翌日、わたしたちは外科のT医師の診察を受けた。もともとこの病院を選んだのは胃がんの外科手術に強いという評判を聞いたからだった。

 

夫は当初最初に検査を依頼したクリニックの紹介で別の病院に入院し、そこで手術を受けることになっていた。そこでの診断結果はステージ3b。ところが紆余曲折あって我々は手術日前日に手術を断り、現在の病院に紹介状を書いてもらった。実はこの顛末を書くのが大変なのでブログが中断していた。

 

こうして訪れた大学病院は見るからに明るく清潔で、最新の設備が整っており、事務手続きも院内の作りも機能的だった。祈りを込めて門をくぐった去年の2月、下された診断はステージ4。前の病院の検査結果を見てすぐに医師は腹水を認め、おそらく手術はできないだろうと診断した。続いてPET検査と腹腔鏡検査の結果により腹膜播種と腹水、数え入れないリンパへの転移が見られ、胃切除手術の道は絶たれた。

 

そして現在。再び訪れた外科病棟で、夫は再び胃切除について外科のT医師の見解を聞くことになった。「お久しぶりの受診ですか?」と尋ねる看護師をまえに、生きて再び外科病棟を訪ねることができたのはまず喜ぶべきことだとぼんやり思った。

 

内科医のR医師は穏やかに、でもとてもはっきり厳しい調子で緊急に手術を受けるか化学療法を再開することをすすめていた。一方外科のT医師はいくつかの可能性と選択肢を上げ、考える余地を残してくれた。

 

腹水も腹膜播種が確認できないほどになったいまならば、胃切除で一度にがんをごっそり体内から取り除くことができる。しかし胃切除が身体にとって大きな負担であることは間違いない。手術から回復するまで時間もかかるし、その後長期的に胃がない暮らしにまつわる問題*1もある。無駄に体力を消耗させては意味がない。

 

かつては予防と称して周辺臓器を手当たり次第に切除することもあったが、現在は転移がないことを十分に確認し、勝算があるなら最小限の切除をするのが標準的だそうだ。周辺の臓器とリンパも含めてどの程度切除するのが最適かは腹腔鏡検査とバリウム検査をしてみないと決められない。

 

実はわたしたちが前の病院を断ったのは、執刀医である院長が「予防のために取れるものは全部取る」と考えていることを手術の前日に研修医の口から聞かされたためだった。驚いて面談を依頼したが、そこでの話は手術も予後の治療方針もそれまで聞いた話とまるで違っていた。

 

医師は何が何でも大掛かりな胃切除手術を強行する気でいた。転院先ですぐにステージ4と診断されたことを考えると胃切除手術のためのステージ3b診断だったのではないかとすら思う。あのときそんな大掛かりな手術を受けていたら夫はここにいなかった。転院するときは大変な思いをしたけれど、あらためて転院できてよかったと思った。

 


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*1:胃切除後貧血やダンピングなど